前書き

今回は、ハヌマーンの1stフルアルバム、World's System Kitchenの感想です。
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ハヌマーンとは、大阪出身の日本のスリーピースバンドです。
歌詞が売りだ、と自分たちでいっている通り(どっかのインタビューで見た気がする)、歌詞が魅力的なバンドです。
2012年に解散しています。
解散後、ベースの大久保恵理はマイミーンズというバンドをやっています。
そして、作詞作曲ボーカルギターの山田亮一はバズマザーズというバンドをやっています。
ハヌマーンとは、インド神話に出てくるヴァナラ(猿族)の一人で、風神ヴァーユの化身です。
孫悟空のもとになった存在だとか。

全体的にダルい感じの歌詞と、鬱憤をぶつけるようなメロディーが魅力。即効性はあまりないけど、所謂スルメ曲という感じの何度も聴いているうちに味が濃くなっていく曲を作るバンド。
今気が付きましたが、このサイトで紹介したバンドは今のところ全部解散している。
それではいきましょう。

1. 妖怪先輩

★★★★

金属的な響きのギターとベースがかっこいい曲。
いい声で『おい、俺を見くびるな』って言い捨てられると震える。
歌詞が聞き取りにくいのもあってメロディーに注意が行きがちですが、歌詞をよく聞くとクスリをやっている先輩をチクっているだけの歌です。
なんじゃそりゃ。複雑な気持ちになるわ。

2. 猿の学生

★★★★☆


金属的な響きのギターとベースがかっこいい曲。
さっきと言ってること一緒だけど許して。ほんとだから。
ただ、格好良さはこっちのほうが上だけど。
サビの中で『猿の学生が悪いことをしている』って裏声で言った後に、かっちょいいベースが流れるところがクール。
歌詞は、馬鹿騒ぎしている学生を皮肉っています。
酒のんで吐いて、騒いでいる。自分には到底理解できない。
そんな彼らを猿と形容してバカにしながらも、どこか羨ましがっている。
そういう感情を、詩的表現でデコって投げつけてくる曲です。
私はかなり共感できます。
リア充が羨ましいよ。いちいちイベントで楽しそうに馬鹿騒ぎして!
同じ人間同い年で、同じ学生。なのに、どうしてここまで差があるんだろう。
猿の学生の馬鹿騒ぎの描写がいちいち的を射ていて情景が浮かびやすい。
『吉備団子ひとつでぐるぐる回る』という、学生を猿とよんだからこその表現がお気に入り。

まぁなんてダルい後ろ向きな曲だこと。
『「処世の悲しみを知ってるかい?」 猿の学生さん』
『俺の知らない遊びを知ってそうで 嗚呼なんか急に虚しくなる』

3. トラベルプランナー

★★★★☆

仕事に忙殺されて、眠い。休みたくて仕方がない。
そんな中、行けもしない旅行の計画を練って現実逃避。
そういう曲です。
詩的な歌詞が素晴らしい。
他の曲に比べてサウンドも控えめで、歌詞を十分堪能できます。
夜に、布団の中で聞いたら泣いてしまいそうな曲です。
ノリノリで感想を書いていたのに、この曲を聞いたらしんみりしてきた。

『明かりもテレビも点けたまんまで疲れて眠ってしまった
行けもしない旅行の計画を浮かべながら
月でも城崎でも何処へでも飛び交うトラベルプランは
寝て起きたらいつもの朝が来て忘れちゃったよ…』

4. 或る思弁家の記憶

★★★☆

ゆっくりとしていますが、音が鋭いためのんびりはできないです。
歌詞聞き取れねぇ。
トラベルプランナーからこの曲への流れ、かなり重い。
夢を見続けている感じがいたたまれない。

『礼節などノーサンキュー』『共鳴はノーサンキュー』
『明くる夜に馬鹿みたいに笑って暮らす夢を見る』

5. 比喩で濁る水槽

★★★★+

7分もある長い曲。
面白くもなく、希望もない日常生活が続いていく。
アタリマエのことをするだけの、日常生活が続いていく。
そんな救いがない歌です。

こんな歌詞に共感したくない。するけど。
『名前は知らないが、水泡をいつまでも撒き散らすあの装置に似ている』
という歌詞が含まれていますが、アレはそのまんま「エアーポンプ」といいます。

Selfishとは、自分本位の、わがままな、という意味。
『俺は几帳面に整頓された水槽の中、泳いでいるSelfish』
『比喩で濁っていく水槽の中、群れをなして泳いでいるSelfish』
『理由で濁っていく水槽の中、愛を乞うて泳いでいるSelfish』

6. バクのコックさん

★★★★☆

「獏(バク)」とは中国の伝説上の動物です。現実世界に居るバクが元になっています。
中国では、悪夢を払う存在でしたが日本に伝わるうちに「悪夢を食らう」存在に変わっていきました。
巷ではあまり良い扱いを受けていませんが、かなり良い奴です。
流れるように変わっていくメロディーが癖になる名曲。
スルメ系のじわじわ良さが出てくる曲の多いハヌマーンの中では、即効性のある曲。
今までの曲の積み重ねがこの曲に生きてきて、盛り上がるサビで気持ちが高ぶる。
悪夢みたいな現実もバクに食べてもらいたい。

『生きるほど嘘はかさばってく』
『駄目になってしまうなら それでいいじゃないかと笑う』

7. 若者のすべて

★★★★★

殺風景な都会で、若者が一人不敵な笑みを浮かべる姿が浮かぶ曲。
メロディーも歌詞も、一級品。聴きやすいしかなり好きです。
鬱屈した曲が続いてからのこの曲。決して明るいわけではないけど、元気が貰えます。
『月の砂塵が目に入って』という表現が大好きです。月が眩しい。
多くは語らないので、聞いてみてください。
大好きになるかは知りませんが、良さはわかってもらえると思います。

『逢えない誰かを想うとは失念の念を贈ることさ』

『心で歌うな喉で歌え

8. 幻によろしく

★★★+
なぜか自分の中では存在感が薄いです。
いい曲なのになんでですかね。
『夢の街にバスはゆく 二階建てのバスがゆく
 幻に宜しくと 口先だけで俺は言う』

9. アナーキー・イン・ザ・1K

★★★★☆+


このアルバムの中では一番聴きやすいです。だから聴こう。
私はキャッチーなのが好きなので、最初はこの曲が一番好きでした。
無論、今でも好きです。
『部屋で俺、思想犯
 アナーキー・イン・ザ・1K

 部屋で俺、革命犯
 アナーキー・イン・ザ・1K』

10. Don’t Summer

★★★★+

最後の曲ですが、今までの曲より激しいサウンドです。
最初は『水銀温度計 その上昇に連動して上がるあの人のリセット願望』と死にたくなっていたのに、暑くなりすぎて
『34℃、未だ上昇中 面倒に変わるあの人のリセット願望』とめんどくさくなってしまう。
こういうところから夏のうだるような暑さがにじみ出ています。
主張しているのは、夏になんか何もねぇよ! どいつもこいつも楽しそうなサマーソング歌ってんじゃねぇ!
ってことです。一理あるような、無いような。
『気は確かさ 俺には只、笑っちまう程、何もないだけ』

まとめ

総合評価:★★★★★
文句を垂れ流すだけじゃない、欲望と熱量を持った皮肉屋って感じのバンドでした。

問題点としては、歌詞が売りのバンドなのに、歌詞が聞き取りづらいという点でしょうか。
滑舌悪くない?
解散してしまったのはほんとうに惜しい。
もっと高みに行けたはず。その高みを視聴者に見せてくれたはず。
まぁ文句を言っても仕方がない。
気色は違うバンドで、ですけども、山田亮一が活動を続けているだけでも良しとします。

ーーーーーー
このバンドはVIPのスレで知りました。知れてよかった。
本当の音楽通になりたい。
というわけで、イチオシのバンドの布教いつでも受け付けてます。

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コメント

コメント一覧

    • 1. 匿名
    • 2016年03月08日 20:28
    • すごく共感できるレビューでした(ノーサンキュー
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